KIMONO AGENCY
Feb072013

Article 3: The Mystery of Kimono to Americans: How to Make Kimono

以前あるアメリカ人建築家から、個人的に毎月開催しているプライベートサロンで着付けのデモンストレーションと、

着物に関するレクチャーを依頼されたことがあります。

その方の邸宅で行われ、ハイソサエティーな50名がゲストオーディエンスです。

テーマは 「Elegance of Kimono − 日本の四季にみる着物 − 」 。

そのレクチャーの最後に Q&Aを行った際、私たちが考えていたものとは全く違う、

今までに聞かれたことがない質問が飛んできました。

外国人視点からの着物の見え方について考えさせられる良い経験になりましたが、聞かれたこちらは冷や汗ダラダラでした (笑)

 

まず最初の質問で度肝を抜かれました。

「皆さんが着ている着物や帯、全部で重さは何パウンドですか?」 重さなんて計ったこともありません。

みんなで顔を見合わせてしまいました (笑) その後次々と予期せぬ質問が押し寄せ、四苦八苦しながら Q&Aを楽しみました。

以下にユニークなものを書き出しました。

ちなみに、重さは下着から長襦袢、着物、帯を合わせて2~5kgぐらいです。

1. 帯の長さは?

2. 着物を作るのに必要な生地の量

3. 背中に付いているのは、何ですか? (四角形の帯結びを見て)

4. 何分で着れますか?

5. トイレは我慢するのか

6. 昔の妊婦さんも着物を着たのか

7. 着物の作り方、でき上がるまでの期間

400年以上前から愛用されている着物、そして現代の日常生活でも着ることの出来る民族衣装といった面で、

普段の生活にどのように対応しているのか、という点に興味があることが分かりました。

毎日のように着ていますが、重さや長さが気になったことは1度もありませんし、疑問に思ったこともありませんでした。

以下に解答を用意しました。

1. 名古屋帯: 約3.5m 袋帯: 約4.5m

2. 着物を作るのに1反を使います。着物 1反: 12~13m

3. バックパックです (笑) と言って冗談を言いますが、中に軽いものを入れる方もいます。 御太鼓 (おたいこ) という帯結びです。

4. 帯結びによって変わりますが、慣れている方で10~20分ぐらいです。

5. 我慢しません。

6. 帯を上目にするなど着方を工夫して着ていました。

7. 1枚作るのに最低3ヶ月、作られ方は以下に紹介します。

以上の解答の中で、アメリカ人が最も信じられないのが7番目です。

1枚の着物を作るのに何で3ヶ月以上も掛けるのか。世界を見てもここまで手間を掛けたGarmentはありません。

オートクチュールのコスチュームを制作するより高い技術がそこら中に鏤められており、それには日本の文化であり歴史が詰まっています。

 

 

それでは、気になるきものができるまでを 「京友禅」 を例に挙げて、分かり易くご紹介します。

 

きものを語る上で欠かせない存在が、京友禅。

その鮮やかな色彩と巧みなデザインは、世界でもトップクラスの染色技術といっても過言ではありません。

京友禅が生まれたのは、江戸時代中期のこと。 京都・知恩院前に暮らしていた扇絵師・友禅斎の扇絵が写された

小袖 (袖が短い、昔のきもの) が 「友禅模様」 として人気を博したのがきっかけで、

風景や古歌を踏まえた絵柄などのデザインが注目されるようになりました。

絵画のように自在に模様を染め出す 「京友禅」 は、絞りや刺繍など、

さまざまな技法を取り入れて元禄時代 (1680~1709年) 前後に完成したといわれています。

 

京友禅の特徴は分業制にあります。 高度な技術を要する京友禅は、完成するまでに10以上もの複雑な工程があり、

各分野ごとに専門の職人の手に託され、精緻に作り上げられます。

ここからもうひとつ、染めの工程と同じくらい重要な仕事が生まれました。

それが “ 染匠 (せんしょう) ” と呼ばれるきものプロデューサーの存在です。

各職人のところをまわり、図案の作成から制作指導、そしてきものの品質管理までを一手に引き受けるのが仕事です。

きもののデザインに合わせてどの職人を起用するのか決めていきますが、

職人ごとに個性がありますから、得意な分野もあれば、苦手なものもあります。

それぞれの個性をつかみ、きもののデザインごとにその技術を活かせるような関係づくりもまた、大事な仕事のひとつです。

 

【きものができるまで】

 

染匠考えた構図・図柄をベースにして、薄く下絵を描いた後、濃い青花液で清書します。

下絵を描くことで、加工段階で生地がバラバラになっても絵柄がずれません。 デザイン方向性が決まる大切な作業です。

 

下絵線に糊を置いて、隣り合色同士が混ざり合を防ぎます。

糊は水元で荒い落とすため、絵柄輪郭だけが白く残って京友禅特徴である絵画的な味わいを際立たせます。

 

染匠から伝えられたイメージを膨らませ、細部配色を決めてから色を挿します。

写真は振り袖。 染匠が 「かわいらしく、でも上品に」 といに指示を出します。

 

色を入れた上に糊を置き、生地を染めていきます。

均一に染める部分、ぼかし部分ともに色ムラができないよに気を配ります。

写真は職人さんがぼかしを入れているところ。 手早く染めるには熟練した技術が必要です。

 

蒸し・水元は工場で行われます。 染めるたびに蒸して色を定着させます。

色や柄など、工程が複雑になるほど蒸す回数が増えます。 後はきれいな地下水で未定着染料や糊を洗い落とします。

かつて 「友禅流し」 として親しまれた作業です。

 

水元作業後は、高さあるスペースで反物を自然乾燥させます。

状態によっては熱風をあてて乾かすこともあります。 蒸し~乾燥までが工場で行一連作業。

工場では現在1日におよそ350枚も着物を扱っているそです。

 

染め上がった生地に金や銀箔、金属粉を使って加飾します。

写真は糊を置いた部分に金箔を付けているところ。 金箔にも様々な色があり、そ加飾技法も多岐に渡ります。

 

加工終了後は、部位ごとに分かれた反物を縫い上げます。

状態が美しい 「絵羽」 と呼ばれるもです。 仕上がった着物は染匠さんもとへ。

各工程ごとに、染匠さんが監督・指揮する手描き京友禅完成です。

 

こうしてできあがる着物は、各職人の高い技術を結集させた最高傑作。

きものが完成するまでには何ヶ月も掛かりますが、

それは世界にたったひとつのきものを作るために必要な手間ひまがかけられているから。

きものは十数の工程、そして何人、何十人という人の手を通して作り上げられるもの。

だからこそ、クオリティの高い作品が出来上がるのです。

 

着物が欲しくなってきますよね!? 私もです (笑)

次回は、「着物業界が危ない!? 日本の着物事情と行く末」 というテーマで綴ります。

こんなに素晴らしい着物文化の実情をご紹介していく予定です。

 

( 資料提供 : 山野流着装教室 )

 

2012年2月 ロサンゼルス情報ウェブサイト”びびなび“ に掲載

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